午後

日記

ドグラ・マグラ面白いよ。

ネタバレ。3ヶ月くらいかな。1ヶ月まるまる使って読了したよ。私は気に入ったよ。読了するのが難しい小説と言われている。意味がわからない小説だと評判だ。そんな事ない。小説なんて意味が分かる方がおかしいんだ。

 

敬語表現が慇懃なためその辺のビジネス本より正当な敬語の使い方の具体例を提示してくれた。特に若林先生の言い回しは慇懃で回りくどくこの人が3行以上喋る度に私はバカにされているような気がした。「斯様」「さよう。」50回は出てきたんじゃないの?ビジネス界でここまで「敬語だ!スッゲー!スッゲースッゲー!」ってなるような言い回しは知らない。これで声が高くて身長高くて顔が面長で毛むくじゃらで色白なんだよ。病弱。お前かわいいな。現実に居ないよ。タノシイタノシイ2次元キャラによる敬語講義だよ。なじられるよ。「ほらほらこの言い回しイラつくだろ」容赦なく言い回してくるよ。酔うよ。くるくるくる〜。若林先生の回しさばきにかかれば思わず思うようになるよ。「若林先生ならもっと…………」これを磨けばあの気になる気になる上司に教養の一撃をくらわせられるよ。若林先生なんでそんな回りくどいの君の言い回しはとてもくどいことは覚えているけど具体例は提示できないんだホント長いんだ勘弁してくれ今でも若林先生に付けられた言い回しが離れない頭いいんだからわざとやってるのかなこの人計算高いみたいなこと書いてあったしまったく私はバカにされてしまいました。

 

あまり覚えていないけど、主人公が礼儀正しく誠実な人格な為人間の思いやり方を教えてくれるよ。私は感動しました。後半。教授共が醜く滑稽に成果物を争っている中、主人公は怒って泣きます。「人間はおもちゃではない!!!私は許しません。若林先生と正規先生をここに並べて、被害者に謝らせます。謝ってください。私は、そうしなければなりません。」その後、言いすぎたかなって反省します。「正規先生が謝っているのだから、それで良かったのではないか」「若林先生は正規先生よりも遥かに狡猾な蜘蛛なのではないか、正規先生だけ謝らせれば満足ではなかったのか」記憶が不確かだけれども、主人公が確かに他人のために怒っていたということは分かった。人を思いやるって、こういうことなんだ!!と直感しました。作中でも「人格ヨシ古今無双の頭脳顔は美青年(意訳)」何度も言及されます。主人公に欠点がありません。2次元みたいです。省察自己批判的思考を常にしています。冴え渡ってます。なろう系主人公みたいに調子に乗ることもありません。主人公がずっと嫌な目にあってます。良質な無知ショタを摂取しました。とてつもなくグロい絵を見て「…私は嘘を記すことはできない。恥ずかしい。……最初は正規先生にバカにされないように念入りに見ていたけど、耐えられない。(意訳)」と音を上げたシーンは癒されました。よく頑張りましたを贈ります。

 

誰が黒幕なのか分かりません。メインの登場人物は主人公、若林先生、正規先生、です。3名です。全員不気味で凶悪さを秘めていています。たらい回しされます。あの人が黒幕だ、あの人も怪しい…結局誰なんだ。でも、それがいいのでしょう。正規先生によると、人間誰しもキチガイで地球が精神病棟の庭で太陽が頑張って治療してくれてるみたいです。この3人が表立ってキチガイ度が高いだけで、大したことないのでしょう。キチガイ外道祭文に書いてありました。キチガイと認識している人は優しく、迫害される目に合うらしいです。本当にキチガイなのはどっちだらしいです。視野が広がりました。多くはとくにこのキチガイ外道祭文が挫折理由になるらしいです。ちゃかぽこちゃかぽこ。私は若林先生の言い回しの方に気を取られていたためそんなに気になりませんでしたが大体「色々な世界を見て回ってきたが、どこもかしこも同じようなことばかりしている。愚かだ。私が少しくらい風穴開けてやるよ」みたいなこといってました。これ意識しておけば私は難しくはないと思います。

 

読めない部分がありました。お経がありました。読めませんでした。調べてもこのパートをなんて言うのか分かりません。寿限無寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝るところに住むところ断然無極、色即是空、泰然自若、苦心暗澹、みたいな、見ているだけでよくわからない文章でした。読み飛ばしました。20ページくらいだったかな。読み飛ばしても、面白かったです。後半部分にあったと思います。

 

視野をくれるからこの小説は「精神に異常をきたす」キャッチコピーなのではないでしょうか。自分をキチガイだと疑うことは普通に生きてればありません。冗談めかして「キチガイ」をまるでいいものかのように使います。本物のキチガイは迫害に会います。抽象思考です。1度キチガイ認定されれば日の目を浴びることはありません。会話不可能だと相手に打ち切られます。モヨ子も、主人公も、若林先生も、正規先生も、呉一郎も、全員キチガイな部分があります。正規先生は自分を疑いました。「自分自身もキチガイなのだから、自分だって患者である(意訳)」言っていました。常に自分を内省させてキチガイな部分を認めてどうせ人間は全員キチガイなのだからキチガイを虐めないで平等に生きようぜってことなのだと思いました。

 

記憶力で書いているので読み違えたのかも知れません。私が小説を理解したことはありません。理解できる小説というものは、学術書に名前を変えた方が相応しいと思います。よくわからないものを伝えるからこそ、小説であり、文学なのではないでしょうか。暇なら1度くらい読んでみたら面白いと思います。一日で読めるものではありません。著者夢野久作は10年かけて執筆したそうです。3650日を1日に凝縮しようとするだなんて傲慢ではありませんか。それは文字鑑賞会です。美術品に「何がいいの…?」って思いながら見つめて、次の日形すらも覚えていないんです。そうやって読んで意味がわからなくて何言ってるのか分からない、苦行だった、だなんて著者をコケにしているように見えます。なんかこの小説癒されます。雰囲気がいいんです。俗っぽさとは程遠く、どよんどよんしています。良い読書体験でした。私はこういう話が好きです。